若者が出ていく「本当の理由」
マイナビ「2024年卒大学生Uターン・地元就職に関する調査」によれば、若者が地元ではなく都会へ行きたい・地元に戻らない最大の理由は男女とも「魅力的な仕事と高い給料」です。
地方の産業・雇用環境を整えることは重要ではあります。が、その実現は言うほどたやすくはありません。仮にそれが実現できたとしても「出ていきたい若者」の気持ちは変わりません。なぜなら、仕事や給料だけではなく「都会に出ていきたい・そこで何かチャレンジしたい」という気持ちの部分が大きいからです。
「地方からの女性流出」だけを問題視する論の中には、都会へ出ていった女性を対象とした調査結果だけで、地方の閉塞感や古臭い慣習、干渉しすぎな空気感などを殊更強調する向きがありますが、マイナス面が改善されれば出ていかないかというと、そうではないはずです。
前述した通り、出ていく割合は3分の1程度一定存在するので、「出ていきたい」という感情が先にあり、理由は後付けであるという冷静な見方が必要です。
「親元、地元から離れたい」という気持ちの中には「都会に出ていけば何か別の世界があるかもしれない」という期待が大きいわけです。つまり、若者が出ていくということは、そうした期待や希望や夢を抱いて出ていくのであって、それを妨げて一体何をしたいのでしょうか。
「流出防止」はむしろ逆効果
転出が多い地方が目指すべきは、人口流出の防止ではなく、むしろ若者が積極的にチャレンジすること自体を応援する姿勢のほうです。
そもそも「流出防止」という思考自体が、「若者は自治体の資産なんだから、出ていかれては損失」という窮屈なゼロサム発想に基づいています。まるで、貯めた預金通帳の額が減ることが嫌で、何も使わない人のようです。
若者が自治体に限らず、国や未来の資産であることはその通りですが、「その資産を減らさないように使わない」のではなく「資産だからこそ活躍させる投資」視点への切り替えが必要でしょう。
地方における今までの問いは、「どうすれば出ていかせないか」「どうすればUターンさせられるか」に終始していたと思います。が、その問いに縛られると、かえって逆効果になりかねないことにもなります。
新しい問いとは、「地元に残るか出ていくか、戻るか戻らないか」を目的化せず、生まれ故郷である地元への誇りと愛着という関係性をどうすれば継続させられるか、という方向です。

