加えて中国業者は、原料の確保でも手を打っている。マッコーリー・グループのコモディティ・ストラテジスト、アリス・フォックス氏はロイターに対し、中国の製錬所は備蓄してきた銅精鉱の在庫を取り崩しつつ、政府の家電・自動車買い替え補助金制度で回収された製品から得られるスクラップ銅も活用していると分析。銅精鉱の輸入量を上回るペースで生産を伸ばしているという。
フォックス氏は昨年8月、「銅精鉱が不足し処理・製錬費は低いが、にもかかわらず、中国の製錬生産は年初来で目覚ましく堅調だった」と述べている。
アメリカは銅を「重要金属」に指定
好調な中国産業と対照的に、次々と閉鎖に追い込まれる海外の製錬所。各国政府は、こうした状況を安全保障上の脅威として捉え始めている。
S&Pグローバルが今年1月に公表した報告書によると、EV(電気自動車)や送電網、再生可能エネルギー設備の急増により、銅需要は2040年までに現在比50%増の4200万トンに達する。
一方、新規鉱山の開発が追いつかず供給は約3200万トンにとどまり、世界で約1000万トンの不足が生じる見通しだ。フォーチュン誌が引用したこの報告書は、供給不足が「世界の産業、技術進歩、経済成長に対する体系的なリスク」であると警告している。
警戒感は広がっており、過去5年間で複数の国が銅を「重要金属」に指定し、国家備蓄や投資優遇の対象としてきた。2025年にはアメリカも指定に踏み切った。S&Pグローバル・エナジーのカルロス・パスクアル氏はフォーチュン誌に対し、銅はEVのモーターから送電網、通信インフラ、軍事システムまであらゆる分野を支える基盤であり、「将来的な供給の確保は戦略的重要事項となっている」と指摘する。
一方で、銅の増産は容易ではなく、世界的な資源の奪い合いが深刻化するおそれがある。同誌によると新規に鉱山を開拓しても、鉱床の発見から実際に銅を産出するまでに平均17年を要する。環境規制や地域住民との合意形成、インフラ整備など、乗り越えるべき壁が多いためだ。
中国へのアルミ流出に危機感
中国による資源支配は、銅だけにとどまらない。アルミニウムでも同じ構図が広がっている。
世界最大のアルミリサイクル業者Novelis(ノベリス)のエミリオ・ブラーギ副社長が、フィナンシャル・タイムズの取材で実態を明かした。中国のバイヤーが欧州のアルミニウムスクラップ(アルミくず)を買い占め、溶解・加工して欧州に逆輸出しているという。

