中国の影響力は製錬にとどまらない。フォーチュン誌が引用した調査会社S&Pグローバルの分析によると、世界の銅採掘の約3分の2はわずか6カ国に集中している。

製錬についても能力ベースで約40%を中国が単独で握り、生産量では60%近くに達する。S&Pグローバルは、こうした寡占構造のもとでは、「政策変更や貿易障壁、地政学的な混乱が起きた場合に、供給と価格を直撃しやすい」と警告する。

実際、中国は2010年の尖閣諸島問題で日本向けレアアースの輸出を制限し、2025年にも対米報復としてレアアース関連の輸出規制を発動している。銅も同じように、政治問題のカードになる危険がある。

銅
写真=iStock.com/SAND555
※写真はイメージです

日本、フィリピン…世界の製錬所が苦境に

中国勢が原料の銅精鉱を大量に囲い込んだ結果、海外の製錬所は深刻な原料不足に陥っている。

海外では、操業停止が相次いでいる。スイスの資源大手グレンコアは2025年2月、市場環境の悪化を理由にフィリピンの銅製錬所の操業を事実上停止した。

中国企業が運営する海外の製錬所も、原料不足を免れない。ロイターによると、中国のシノマイン・リソース・グループは同年7月、銅精鉱の不足を理由にナミビア南西部のツメブ工場の操業を一時停止すると発表した。

こうした事態に、製錬業者と各国政府は反発を強めている。ブルームバーグによると、日本・韓国・スペインの産業省は昨年10月、共同声明で現在の処理・製錬費は「懲罰的」であると表現した。中国の国内業者は中国政府による補助金政策などで生存競争を有利に生き抜いているとし、「公正な市場原理を反映していない可能性のある政策・慣行」を批判する内容だ。

日本でも三菱マテリアルが、業界環境が「著しく悪化」していると表明。日本の非鉄金属メーカー・JXアドバンストメタルズは数万トン規模の減産に踏み切った。

一部では、各国政府による救済の動きも出ている。オーストラリア政府は資源大手グレンコアに支援措置を講じ、同国マウントアイサの製錬所が今後3年間稼働できるよう救済に動いた。

製錬所の溶融金属
写真=iStock.com/Nordroden
※写真はイメージです

副産物が製錬所の生命線になった

同じ原料不足に直面しながらも、中国の製錬所が生産を拡大し続けられるのはなぜか。

ブルームバーグによると、中国勢も低い処理・製錬費に苦しんではいる。ただ、建設業や電気配線に使われる精製銅の価格が高騰しており、比較的安価に仕入れた在庫との差額で当面の利益は確保できている。

もう一つの利益要因が、銅の製錬過程で生じる硫酸や希少元素といった副産物だ。どちらも相場が高騰している。これらを売却し、処理・製錬費以外の収製錬事業の運営資金を捻出している構図がある。マイナスの処理手数料となってなお処理を引き受けるのは、こうした副産物で利益を得られるためだ。