「美人だから選ばれたに違いない」「イケメンだから優遇されたんだ」などという邪推をしたくなることはよくある。中野信子さんは「人が物事を美醜で判断してしまうのは、脳の性質を知れば納得せざるをえない。それには科学的な根拠がある」という――。(第2回/全3回)

※本稿は、中野信子『脳科学で解き明かすあの人の頭のなか』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

リビングルーム、息子に色鉛筆で絵を描いてみせる母親
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悪口を聞いただけでも脳を傷める

あなたの近くに、人の悪口ばかり言っている人がいたら、どうしますか?

・「そんなことを言うのはやめなよ」と注意する
・本意ではないけれど、適当に相づちをうっておく

どちらも、あまり得策ではありません。

できれば、その場を離れましょう。

私たちの脳は、交わされた言葉をしっかりと覚えており、それを後から繰り返す性質を持っています。そのときに、主語や目的語を正しく判断しません。

Aさんが言ったのかBさんが言ったのか、Cさんに向けられたのかDさんに向けられたのかという点を整理することなく、その言葉が脳内で繰り返されます。

つまり、人の悪口を言えば、それはそのまま自分に対して繰り返されるし、そばで聞いていただけでも同様の結果となります。

しょっちゅう人の悪口を言っている人は、そうした負のスパイラルにどっぷりはまり込んでいるのです。

人の悪口ばかり言っている人は、自分の脳を傷めていることに気づかない哀れな人です。

関わらないで放っておきましょう。

人は正しさより美しさで物事を判断する

5歳の男の子に、いわゆる美人の女性とそうではない女性の意見を聞かせ、「どちらのお姉さんの言っていることが正しいと思う?」と聞くと、8割が美人の言っていることのほうを正しいと答えることがわかっています。

彼らは、意見の内容を吟味しているわけではなく、単純に美醜で判断しているのです。

大人になれば、「そんなことではいけない」「自分はそうではない」と口では言うものの、人の意見に賛同するか否定するかの判断をするときに、美醜は一定の基準になっています。

男女をひっくり返しても同じで、ハンサムの言うことは正しいと考えられがちなのです。

プレゼンをするビジネスマン
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これは仕方のないことで、じつは、脳のなかの「美しさ」を扱う領域と「正しさ」を扱う領域は、とても近くにあるために混同しやすいのです。

つまり、この世のほとんどの人たちが、正しいかどうかの判断に「美醜」を持ち込んでいるのです。

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