「お昼寝しているから大丈夫」はNG

その結果、早寝して十分に眠った子どもは、翌日の実行機能課題や注意課題の成績が良く、逆に夜更かしして睡眠時間が短かった子どもは反応が遅れたり、ミスが増えたりすることが確認されました。わずか1時間の違いであっても、子どもの認知機能に大きな影響が出ることを示したのです。

ベッドで眠る子供
写真=iStock.com/Milatas
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さらに、ベルニエ、カールソン、ボルドロー&キャリアー(2010)(※4)は、1歳時点での睡眠の規則性と質が、その後の実行機能の発達にどのように影響するかを縦断的に追跡しました。

その結果、昼寝で不足を補うよりも、夜間にまとまった睡眠をとれている子どものほうが、4歳時点で計画性や抑制、注意の持続といった実行機能が高いことが明らかになりました。日本は世界の中でも子どもの睡眠時間が短いことで知られています。

中には「保育園でしっかり昼寝させているから、大丈夫」と口にする大人もいますが、実行機能の発達においては昼寝で補うことは難しそうですね。

一方で、メディア視聴の影響も無視できません。バー、ローリチェラ、ザック&カルバート(2010)(※5)は、1歳児のときに大人向けのテレビ番組が長時間つけっぱなしになっていた家庭では、4歳時点の実行機能の成績が低いことを報告しました。

赤ちゃんの集中を奪う親の行動

本来ならば、1歳の好奇心に溢れた感性で、初めて目にする世界を理解し、触れて、遊びに没頭することこそが、子どもの発達を促進するはずなのです。しかしだらだらとつけっぱなしのテレビは魅力的で、赤ちゃんの集中をたびたび奪います。これが繰り返されることがよくないようです。

受け身で晒さらされるといえば、スマートフォン、タブレット端末などのデジタル映像機器は、さらに身近なアイテムです。これらが子どもの実行機能にどう関わるかをめぐっては、単純に「長く見せれば悪い」という見方だけでは語り切れないという研究の流れが目立っています。

ブスタマンテら(2023)(※6)の大規模なメタ分析は、0〜6歳の子ども約7000人分のデータを検討しました。その結果、スクリーン時間と実行機能の間に一貫した負の関連は見つかりませんでした。つまり、「長く見れば必ず害になる」と単純に言えるわけではないのです。一方で、マクハーグら(2020)(※7)の追跡研究では、3歳前後の幼児を対象に、スクリーン時間が多い子ほど実行機能の得点が低いことが示されました。