目玉政策の消費減税や「新しい財源」も不発

中道が目玉政策として打ち出したのは「恒久的な食料品の消費税ゼロ」だった。しかし、これは選挙戦早々に高市政権が2年という時限付きではあるが「食料品の消費税ゼロ」という方針を出して、争点潰しにかかった。

高市早苗氏が掲げた時限付きはかなり巧妙な仕立てで、必要な財源は1年で約5兆円×2年=10兆円と今の財政状況ならば実現不可能ではない数字であり、しかも旧立憲が意欲的だった給付付き税額控除を実現させるまでのつなぎという位置付けだ。中道は現実的な政策にお株を奪われる形になった。

見出しに踊る「消費税」の文字
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争点潰しという声に対して、中道支持者は「いやいや、私たちは恒久的に財源を生み出す現実的な政策としてジャパン・ファンドを提案したのだ」という声が上がってくるだろう。彼らがいうジャパン・ファンドとは、公的年金積立金や外為特会などを活用して資産運用をしながら、財源を充てるというものだ。

このいささか荒唐無稽な提案については、早々に「年金積立金の流用では?」といった批判が飛び出し、まったく浸透しなかった。この点は年金問題のエキスパートである中田大吾氏が丁寧に検証を重ねている。

党の存在意義を賭けたはずの訴えや財源論だったはずだが、最終的には主要な訴えからも外れた。これ以外の目玉政策が出せない中道が頼ってしまったのはノスタルジックな平和論だった。

「現実路線」を台無しにした“ハッシュタグ”

投開票日前日の2月7日――池袋駅前である。各社の終盤情勢で共通して劣勢が伝えられ、追い詰められた斎藤氏が唐突に訴えはじめたのはXで広がった「#ママ戦争止めてくるわ」への賛同だった。そして野田氏もまたそれを引き継ぐように右傾化への警戒感を語るのだった。

賛同する合いの手はそれなりに派手に上がっていたが、口調は明らかにコアな支持層のそれであり、通りすがりの人々を惹きつけることすらできなかった。斎藤氏は「ママ戦争を〜」など「平和問題を語ると聴衆の反応が良かった」と語っていたが、それは固定の支持層しか聴衆にいないことを意味する。

旧立憲がこだわってきた安保法への賛成、原発再稼働の容認は公明党にあわせる形での現実主義的な路線変更だった。これ自体、私は評価したいと思う。左派的なイメージが強くついて回った立憲が、本当に自民党から政権を奪うためにはごく一般的な有権者の不安に応えないといけない。安全保障、エネルギーの問題は避けられない論点である。

しかし、最後に彼らが選んだのはあまりにも旧来的な左派・リベラル的な平和主義だった。「平和な日本」に住みたいことは誰もが賛同するだろう。しかし、高市政権が継続すれば日本は戦争に突き進み、中道を選べば戦争を抑止できるのだろうか。そうだとして、根拠は何か?