政策の方針転換で支持層が離れてしまった

「憲法9条を改正したい政治家に政権を任せると戦争になる」という物語は急速にリアリティを失いつつあり、いまや極論の一つと言っていい。

現実に即して考えてみよう。仮に改正するとして具体的な条文はどうなるのか。衆議院だけでなく、参議院でも3分の2以上の賛同を形成して、かつ国民投票で過半数以上を得るには相当なハードルがある上に時間もかかるものなのだ。

そして肝心なのは今の国際情勢のなかで中道はどのような外交・安全保障政策を実行に移すのか、である。有権者が聞きたいのはその点だろう。具体的なビジョンなき平和主義ではコア層しかついてこない上に、せっかく現実主義に寄せた安全保障政策がとたんに説得力を失う。

いわゆる安保法への反対を支持するような旧立憲の支持層からみれば、ノスタルジックな平和論や護憲論に頼るなら共産党と組んだほうがはるかに明快だっただろう。現実的な政策を訴えることで無党派層の支持を取りつけつつ、自民党支持層を引き剥がすことにも失敗し、立憲支持層も離れていった。そう見ることができるだろう。

旧統一教会問題で目立った“ダブスタ”

第三のダブスタ体質も深刻だ。本格的に選挙戦が始まる直前に野田氏にスキャンダルが飛び出した。旧統一教会系の政治団体が野田氏の後援会を作り、支援していたというものだ。

渋谷区松濤にある旧統一教会(正式名称:世界平和統一家庭連合)の日本本部。2022年9月29日撮影
渋谷区松濤にある旧統一教会(正式名称:世界平和統一家庭連合)の日本本部。2022年9月29日撮影(写真=Asanagi/CC-Zero/Wikimedia Commons

私の立場は宗教団体が政治家を支援するのは自由だが、かねて高額献金問題などを抱える統一教会系の支援を受けるのは不適切であるというものだ。問われるのは支援の見返りに金銭の授受があったとか、旧統一教会を優遇するような特定の政策を実現するとか、利益誘導があったか否かだ。

野田氏はこの点を明確に否定し、今のところ教団に対して便宜を図ったという具体的な証拠も出てきていない。私も野田氏について取材をしたが、小選挙区で勝ち上がるためにあらゆる支援を求め、その一つに件の政治団体があったくらいだろうと判断している。これならば道義的責任しかない。多くの自民党議員と同様に選挙区の住民が国会議員にふさわしいか判断すればいい。

問題は、野田氏が旧統一教会の支援を受けていた自民党議員を公然と批判してきたことがそのまま返ってきている点にある。しかも、野田氏は過去の取材に対しても「旧統一教会とは関係ない」と回答していた。これが自民党議員ならば「嘘をついた」とか「接点を隠した」と声が上がり、進退レベルで問題視しそうなものだが、党内からも出てくるのは「野田氏は自民党とは違う」という大した根拠もない擁護の声だけで、公然と責任を問う声は上がらないままだった。