営業成績によって給与が天と地の差

通常、企業は自社の取引先、営業担当者が顧客(個人・法人など)に提供するサービスや商品の内容を精査する。営業活動は法令や業界の自主規制などを遵守しているか、内部監査や外部の監査を通して定期的にモニターする。問題が発生した場合は、第三者委員会などを設置して迅速に再発防止策を打つ。

そのためのルールや、管理監督の体制を構築するのは経営者の役割だ。しかし、プルデンシャル生命ではそうしたルールも、体制も十分ではなかった。というより、かなり杜撰だったとの指摘もある。それは、企業統治のあり方を問う以前の問題だ。経営者の常識が疑われても仕方がないだろう。その結果、金銭のだまし取りなどの問題が放置された。

“ライフプランナー”と呼ばれる同社の営業担当者は、給与が成績に連動する歩合制をとっていた。営業成績が上がれば報酬は増える。億単位の給与を受け取った営業担当者もいたという。逆に、契約が取れないと、最低賃金水準の報酬しか受け取れなかったようだ。

「トップ営業マン」は神のような存在に

その結果、営業担当者は給与水準を高めようと、法令などを無視して営業を行った。その一方で、組織全体で営業活動を管理監督するしくみはなかった。

いつ、どこで、だれが、どのような商品を、誰(顧客)に提案し、契約を獲得したか。営業プロセスに瑕疵かしはなかったか。契約成立後の保全はどうだったか。企業として必須な業務運営の体制は整備、構築されていなかった。

営業実績の高い担当者は、優秀者とみなされる傾向が強まった。それに伴い、組織全体で、彼らの活動にもの申すことはタブーという心理(集団浅慮)が出来上がった。おそらく、内部告発を行うことすら難しくなるくらい、成績の高い人は神格化されていたとの見方もある。

というのも、今回の発表に至ったきっかけは2024年6月の元社員の逮捕だったからだ。刑事事件に波及するまで組織的な是正措置は起きなかった。同社全体で営業部門に対するルールの策定、管理監督の体制は整備されていなかった。その代償はあまりに大きかった。