脳は頼りないからダメになる

中毒には、ギャンブル中毒、買い物中毒、仕事中毒……といろいろな種類がありますが、すべて脳に原因があります。抜け出したいのに簡単には抜け出せないのは、意思が弱いからではなく、脳の問題だからです。

ニコチン中毒の人は、たいてい「タバコなんてやめたい」と内心では思っています。望むままに喫煙していたら、体を壊すと考えるからです。ただ、「タバコを吸いたい」という強い脳の欲求に負けて吸ってしまいます。

タバコを吸う女性の手
写真=iStock.com/Doucefleur
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それでも、ある程度の危機感があるだけましかもしれません。糖質中毒は、そうした危機感を抱きにくいという点で、ずっとやっかいだとも言えます。

脳というのは、しっかりしているようで、案外、頼りない一面があります。

あなたの脳が、「もう糖なんていらないよ」と正しい判断をしてくれればいいのですが、たいていは「もっと糖を摂って」と指令を出してきます。その結果、あなたは糖を摂取し、脳のみならず全身の健康も損なっているというのが現実なのです。

現代人はあまりにも多くの糖質に囲まれているため、よほど意識しないと糖質を過剰摂取することになります。その結果、気づかぬうちに糖質中毒に陥ります。

そして、あまりにも多くの糖質に囲まれているため、誘惑があり過ぎて中毒から抜け出すのが難しいのです。

私達はいつから糖質を摂るようになったのか

もっとも、脳が「もっと糖を摂って」と指令を出すこと自体はなんらおかしなことではありません。それは、生き残るためのエネルギー源を確保しようとする、生命体として当然の仕組みです。

ちょっと想像してみてください。諸説ありますが、私たちの遠い祖先であるホモ・ハビリスが誕生したのは、約250万〜240万年も前といわれています。

それからとても長い期間、10万世代を超えて、人類は狩猟や採集で食物を賄ってきました。たまに仕留められる動物の肉、釣った魚、木の実や山菜などを食べて命をつないできたわけです。

こうしたものの中にも、少し糖質が含まれています。そのわずかな糖質やケトン体をエネルギー源として生きるように、人類はプログラムされています。もちろん、あなたも私も同様です。

ところが、約1万年前に農耕が始まり、糖質だらけの穀物を人々は口にするようになりました。1万年前というとずいぶん昔のようですが、たかだか400世代くらいの年月です。10万世代と比較したら、つい最近の話です。

さらに、産業革命によって砂糖が大量生産できるようになると、人々の糖質摂取量が劇的に増えていきます。