「端の席」の発言が減る3つの理由
端の席に座ると、何が起きるのでしょう。そこには、私たちの行動を決める3つのメカニズムがあります。
【①表情が見えないと心理的距離が生まれる――視野60度の法則】
人は視野の中心約60度の範囲で、相手の表情を正確に読み取ることができます。この範囲に相手がいると、表情から意図が伝わりやすいため、会話がしやすいのです。逆に、この範囲から外れると、相手の反応がつかみにくく、「ちゃんと聞いてもらえていない」と感じやすくなります。
中央の席では少し首を動かすだけで複数の参加者の表情が視野に入り、反応を読み取りながらテンポよく会話ができます。一方、端の席では多くの参加者が視野の外に位置し、表情や視線が見えにくくなります。
話しかけにくい、伝わりにくいと感じ、発言を控えがちになるのです。
【②全員の視線が一点に集中し、緊張が高まる】
さらに、端の席から声を発すると、全員が一斉にこちらを振り向きます。この視線の集中は、無意識のうちに交感神経を刺激し、緊張を高めます。実際には誰もそこまで気にしていなくても、人は「自分が注目されている」「恥ずかしい」とプレッシャーを感じやすくなり、発言を控えがちになります。
つまり、端の席はスポットライト効果――「みんなに見られている」と感じやすくなる心理――を強く感じる“緊張の席”なのです。
【③距離が発言を遠ざける】
議論の中心から遠い位置では、視線や発言の流れが届きにくくなり、場の一体感から外れてしまいます。すると、おのずと当事者意識が薄れ、発言意欲や内容への責任感が低下します。そして、まるで観客席にいるような感覚になります。
さらに、端の席から発言するには、声を大きく張り上げ、首を回して全員を見渡す必要があります。私たちの脳は、こうした身体的な負荷を避けるようにできているため、「話しづらい姿勢」が、発言をためらわせます。
「座席シャッフル」で空気を変える
【全員の顔が見える席に座る】
できるだけ、全員の顔が無理なく見えるよう、座ってみてください。
テーブルは円形が理想です。長すぎるテーブルは、端の人の表情が見えにくくなります。円形テーブルが難しい場合は、ローテーション制や座席シャッフルを取り入れます。毎回違う位置に座るだけで、発言者の顔ぶれが入れ替わり、会議全体の空気が活性化します。
実は、リーダーの座る位置も発言量を大きく左右します。会議では、リーダーはいつもどこに座っていますか。
B:テーブルの中央
C:テーブルの端
リーダーが座る位置は、言葉以上に「組織の文化」を無言でつくります。メンバーたちは無意識のうちに、そのリーダーの位置から「自分たちはどう行動すべきか」を読み取っています。

