男系でたどるか、女系でたどるか
今、よほど特別な家でない限り、室町時代まで祖先をさかのぼれることはないであろう。遠縁という言葉があり、関係の薄い親戚のことを指すが、それでは遠縁にも該当しない。民法では、6親等までを血族としてとらえている。
ただ、そのように説明すると、旧宮家の人々の中には、明治天皇の曾孫や玄孫と言われる人たちがいるではないかと反論されるであろう。たしかにそれは事実で、室町時代にまでさかのぼらなければならないのは、“男系でたどった”場合である。
たとえば、旧宮家の一つ、朝香宮家の第3代当主の朝香誠彦氏は82歳で存命であるが、その祖父にあたる朝香宮鳩彦王は明治天皇の第8皇女子であった允子内親王と結婚している。つまり、誠彦氏は明治天皇の曾孫なのである。
したがって、誠彦氏は上皇の又従兄弟にあたる。又従兄弟であれば6親等であり、血族の範囲にも入る。その点で皇室との関係は深いのである。
竹田宮家の第3代当主である竹田恒正氏も、初代当主の恒久王が明治天皇の第6皇女子の昌子内親王と結婚しており、明治天皇の曾孫で、上皇の又従兄弟である。
旧宮家の人たちが、今日、皇室と近しい交わりを持つことができるのも、こうした関係が成立しているからだろう。もしも、共通の祖先が室町時代にさかのぼらなければならないという縁しかなかったとしたら、とても親しくはできないはずだ。
「女系」で天皇とつながる旧宮家の血統
仮に、旧宮家の誰かが、養子として、あるいは直接に皇族に復帰したとき、当然、現在の皇室との関係が問われるであろう。復帰の対象となるのは、明治天皇の来孫(5代目の直系子孫)ということになるであろうが、そのことに注目がいくはずである。
そこでものを言うのが「男系」ではなく、「女系」ということになる。旧宮家の人間は女系で明治天皇と繋がっているのだ。
保守的な傾向を持つ政党や保守派の人々が、女性宮家の創設に熱心ではなく、養子案にこだわるのは、男系での皇位継承を絶対視し、それを死守しようとするからである。
ところが、いざ養子が現れてみると、女系で現在の皇室と深く繋がっていることが強調されることになる。果たして保守政党や保守派はそうした事態を想定しているのだろうか。
女系ということが強調されれば、それは当然、女性天皇や女系天皇を否定する根拠が失われる。あるいは、皇族復帰した旧宮家の人間が、男系で室町時代にさかのぼる点が強調されたとしても、国民はその人物を皇族としては簡単には認めないかもしれない。
旧宮家の皇族復帰が、女性天皇や女系天皇への道を開く。これは、「愛子天皇」待望論が高まりを見せ、一般の国民の間に、女性天皇や女系天皇を容認する声が多数を占めている現状では、極めて興味深いことである。時代は、女性天皇や女系天皇を実現する方向に着実に向かっているのである。


