NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」では、信長と弟の信勝との闘争が描かれる。歴史評論家の香原斗志さんは「秀吉・秀長の豊臣兄弟の信頼関係は異例といえる。生き残るために対立せざるを得なかった織田兄弟とはまったく違った」という――。
2017年10月14日、小栗旬
写真=FilmMagic/ゲッティ/共同通信イメージズ
2017年10月14日、小栗旬

信長と信勝の「織田兄弟」はなぜダメになったのか

永禄3年(1560)5月19日の早朝、桶狭間での今川義元(大鶴義丹)との決戦に繰り出す前、織田信長(小栗旬)は「人間五十年」の台詞で知られる「敦盛」を舞いはじめた。その際、信長の回想と思われる場面が映し出された。信長の目の前で弟の信勝(中沢元紀)が柴田勝家(山口馬木也)に斬られ、信長に向かって必死に手を伸ばしながら息絶えたのである。NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」の第4回「桶狭間!」(1月25日放送)。

信長はこうして実弟を失っており、それもみずから殺害しているので、藤吉郎(池松壮亮、のちの羽柴秀吉)と小一郎(仲野太賀、のちの羽柴秀長)の兄弟を、憧れと嫉妬が混じったような思いで見つめている――。そういう効果をねらった場面だと思われた。

そして、第6回「兄弟の絆」(2月15日放送)では、信長と弟の信勝のこの逸話が、信長の妹である市(宮崎あおい)の口をとおして語られるようだ。かつては仲が良かった兄と弟だが、永禄元年(1558)、信勝に謀反の疑いがかけられ、信勝は自分を疑う信長を斬ろうとするが、逆に柴田勝家の手にかかってしまった、という話である

藤吉郎と小一郎の兄弟、すなわち「豊臣兄弟」とあまりに対照的な「織田兄弟」だが、史実において信長と信勝は、どういう関係にあり、「豊臣兄弟」となにが違ったといえるのだろうか。