リマソル近郊の海岸でひどく腐敗の進んだ身元不明の遺体が見つかったのは、14日になってからだった。ロシアメディアのフォンタンカは情報筋の話として、この遺体がバウムガートナー氏のものだと報道。地元メディアも翌15日に追随した。一方、キプロス警察は公式には身元を発表していない。
インサイダーによると、肥料大手CEOであったバウムガートナー氏が行方不明になったあと、1月8日には騒ぎになっていた。ところがキプロス警察が公表したのは3日後の11日だった。
捜索は、携帯電話の信号が最後に検知されたアスプロ岬周辺の険しい岩場を中心に進められた。14日午後、キプロス島内でイギリスが軍事拠点として管轄する地域にあるアヴディモウビーチで、一般市民が遺体を発見した。腐敗が著しく進んでおり、その場での身元特定はできなかったという。
ロシアのオンラインメディア、フォンタンカによると、警察は事故の可能性が高いと見ている。熱心なロッククライマーだった同氏が、「今回は別のルートに挑戦しようとした」との見立てだ。
不可解なことに、発見から1週間以上が経っても、遺体がバウムガートナー氏本人かどうか、まだ特定できていない。グリーク・シティ・タイムズによると、遺体の衣服は失踪届の内容と一致したが、DNA鑑定は続いている。発見現場が英軍基地内にあり、キプロス警察に全面的な捜査権限がないため、作業が遅れているという。
事故か、自殺か、それとも他殺か。ロシア外交官パノフ氏の死との関連も含め、真相は闇の中だ。
大統領義弟を失脚させた動画スキャンダル
パノフ氏の死と同じ日、キプロス政界をスキャンダルが駆け抜けた。発端となったのは、ソーシャルメディアで拡散した1本の動画だ。
動画には、ニコス・クリストドゥリディス大統領の首席補佐官で義弟でもあるハラランボス・ハラランブス氏が登場。ある人物に対して自分に投資するよう持ちかけ、金銭と引き換えに政治的な便宜を図ると示唆しているように見える内容だった。
映像の流出を受け、ハラランブス氏はフェイスブックで反論。動画は「意図的な歪曲」と「選択的な編集」によって、誤解を与える意図で細工されたものだと主張した。しかし同氏は結局、辞任に追い込まれる。
仏ニュース専門局のユーロニュースによると、クリストドゥリディス大統領は辞任を受理し、「圧力に屈したわけでも、罪を認めたわけでもない。潔白への自信の表れだ」と述べたという。
問題の動画には、ハラランブス氏のほか、元エネルギー相、大手建設会社のCEOが映っている。3人は大統領と親密な関係にあると誇示しながら、口利きをほのめかすような発言を繰り返していた。
疑惑はそれだけにとどまらない。動画は、クリストドゥリディス大統領が2023年の選挙で100万ユーロ(約1億8292万円)の資金上限を超え、帳簿外の献金を現金で受け取っていたとも主張している。

