お荷物社員に居場所はない
上原さんが再び休職になると聞き、タッコーと真島課長の反応が心配になった。
「いつまでも休んどるんだて、早よ出てこい!」
そんなふうに上原さんがタッコーから叱責されると思ったのだ。
ところが、まったくその逆のことが起こった。
「上原さん、もう限界なんじゃない? ここはいったん退職して体調を整えてみたらどうかな?」
真島課長が電話で上原さんを諭している。
年度初めに目指すべきノルマが提示され、年度末に向けてメンバー全員で猪突猛進していくのが郵便局金融渉外部の営業スタイルだ。このノルマは構成メンバー(社員)の頭数で設定されているわけだが、退職となれば、その数から除外される。つまり、局の年間目標がその分、軽減する。
タッコーと真島課長に促されるようにして、上原さんはY郵便局を退社した。お荷物社員(※9)に居場所はない。使えない社員の退職は金融渉外部にとってプラスなのだ。
上原さんが会社を去ってしばらくして、彼の分が減額となった新たなノルマが本部から通達された。
※9 お荷物社員
ド新人でも、営業マンとして入社したからには数カ月後には初荷をあげることを期待される。それが1年働いて挙績ゼロ。上層部にとってみれば、この時点で上原さんはもうお荷物社員の烙印を押されていたのかもしれない。


