半導体でも日本とドイツで明暗が分かれた

ドイツが対中関係の修正で出遅れたもう一つの理由は、先端半導体分野で決定力を持たない点にある。

装置や素材、車載半導体では強いが、AIや先端ロジックの中枢はアメリカ・台湾・韓国に依存している。

この点は日本も同様だが、日本はこの制約を前提に戦略を組み立ててきた。しかし、ドイツは中国市場への依存が大きかったことで、その先の判断を誤ることとなった。

製品輸出を中国市場、エネルギー政策をロシアに大きく依存していたため、ロシアのウクライナ侵攻によって起こった高インフレで経済に大きなダメージを受け、いまだに泥沼から抜け出せない。

安倍政権とメルケル政権の中国へのスタンスの違いは、その原点となっている。

日本は経済安全保障を重視し、2022年に「経済安全保障推進法」を施行した。

これと並行して、半導体や重要物資の供給網強化が進められ、その象徴としてTSMC熊本工場への約4760億円規模の支援が実現した。

一方、メルケル政権下でドイツの対中輸出比率は2000年の7%から2023年には約12%に上昇し、フォルクスワーゲンは世界販売の約3分の1を中国市場に依存する構造を固定化した。

首相3期目(2013年)当時のアンゲラ・メルケル首相
首相3期目(2013年)当時のアンゲラ・メルケル首相(写真=Alexander.kurz/CC-BY-SA-3.0/Wikimedia Commons

また、ドイツは半導体分野で決定力を持たず、2023年にインテルのマクデブルク工場誘致に約100億ユーロの補助金を決定したが、その後、白紙になった。

このため、2024〜2025年のAI半導体需要爆発にドイツは乗り遅れ、欧州内でも“半導体空白地帯”という構造的課題が浮き彫りになった。

「GDP世界3位」になったドイツのいま

超円安の影響もあり、2023年の名目GDPは日本が約4.2兆ドル、ドイツが約4.4〜4.5兆ドルとなり、順位が逆転したが、ドイツは移民政策による社会的コスト増で政治的混乱が続いている。

日本は経済的に比較的安定を維持し、ASEAN・インドへの投資を加速中だ。

2024〜2025年の賃上げ、企業設備投資の増加、半導体投資の拡大により、日本は“緩やかな成長局面”に入りつつある。

一方ドイツは、製造業不振と高エネルギー価格、難民政策の反動で政局混乱が続き、依然として成長の足取りが重い。