依然として続く中国からの圧力に日本はどう対抗すればいいのか。国際基督教大学教授(政治学・国際関係学)のスティーブン・R・ナギさんは「日本が今後より求められているのは、防衛や外交など他国との関係を築く上で、発信する意志だ。受け身から能動へ。それが戦争抑止力を機能させ続けるためにも必要だ」という――。
会談する高市首相(左)と中国の習近平国家主席=2025年10月31日、韓国・慶州(代表撮影・共同)
写真=共同通信社
会談する高市首相(左)と中国の習近平国家主席=2025年10月31日、韓国・慶州(代表撮影・共同)

影に沈む日本――なぜ埋没するのか

米中競争、第2次トランプ政権の予測不能な言動、ロシアのウクライナ侵攻――世界の注目がそっちに向いている間に、日本はどうなっているか。

経済大国だ、インド太平洋の要石だ、と言われ続けて何十年。なのに国際舞台での存在感は、日に日に薄くなっていると言わざるを得ない。

会議室にいるのに誰からも意見を求められない? いや、もっと悪い。そもそも日本がいることに誰も気づいていない可能性がある。

笑えない。本当に笑えない話だ。

なぜこれが深刻なのか。日本を代表する戦略思想家たちの眼を借りて、少し真剣に考えてみよう。

世界は激変した。で、日本は?

国際経済交流財団の「将来の国際政治秩序に関する作業部会」は、2024年の政策提言でこう警告した。

https://www.jef.or.jp/AR2024.pdf

「2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、歴史の流れを劇的に変え、『平和の時代』を『戦争の時代』へと転換させた。とりわけ注目すべきは、『法の支配』に基づく国際秩序の基盤を根底から揺るがし、軍事力、特に核戦力が中心的な位置を占める秩序へと変貌させたことである」

要するに、日本が戦後80年かけて恩恵を受けてきたルールが、今まさに書き換えられようとしている。作業部会はこうも言っている。

「第2次世界大戦終結以来80年にわたり各国がたゆまぬ努力で築いてきた世界平和と繁栄のシステムから最も恩恵を受けてきた国として、日本にはその回復に重要な貢献を果たすことが期待されている」

期待されている。結構だ。だが貢献したいなら、まず声が届かなければ話にならない。声なき貢献者がどうなるか、歴史を見ればわかる。忘れ去られるのだ。静かに、確実に。