印象に残らない人に欠けている視点

もしここで、女性が答えるならば、「普段はぶっきらぼうだけど、私が困っているときにそっと手を差し伸べてくれるような不器用な優しさにキュンとします」と答えれば、相手は具体的なシチュエーションを想像し、共感したり、意外性を感じたり、あるいは「それって、オレのことじゃん!」と思ったりするでしょう。感情が動くことで、会話はさらに深まり、その人への興味も増すのです。

モテるというのは、相手の「感情」を動かし、相手に「もっと知りたい」「もっと一緒にいたい」と思わせる力です。納品主義者は、この「感情を動かす」という視点が欠けているため、相手にとって「無難だけど、特に印象に残らない人」になってしまうのです。

彼らは、人間関係においても、ビジネスにおけるコンテンツ制作と同様に、ただ「言われたこと」を「こなす」だけで満足し、その先の「相手の心にどう響くか」という結果に無関心なのです。

例えば、「生涯で一番お金を使ったものは?」と問われて水道代や家賃といった「インフラ」を答えても、誰も感情は動きません。当たり前すぎて面白みがないからです。

「つまらない」という感情と向き合う

読者が聞きたいのは、「海外でぼったくられた」「キャバクラでムダなシャンパンを開けて100万円使った」のように、具体的なエピソードと、それによってさらに会話が盛り上がること、つまり「その話を聞くことで自分の感情が動くこと」なのです。

納品主義者のサボリーマン思考から脱するコツは、コンテンツを「つまらない」と思う感情を持ち、その「つまらなさ」の原因を徹底的に追求し、最終的な品質をチェックする意識と行動をすることです。この「つまらない」という感覚は、コンテンツを作るときの必須条件であることはすでに述べました。

ただ、現実として多くの人は、自分が作ったものが「つまらない」と認めることを嫌がります。しかし、その感情と向き合うことこそが、成長の第一歩です。「なぜ、私の文章は読者の心に響かないのか?」「なぜ、この企画書は相手を動かせないのか?」その原因を深掘りすることで、初めて読者の真のニーズや感情の動きが見えてきます。これは、コンテンツを「完成させる」こと以上に、その「成果」に責任を持つというプロ意識の表れです。

悩んでいるビジネスマン
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです