さらに上西先生は、大人のまねをして「低炭水化物ダイエット」「糖質抜きダイエット」を実践する子供がいることも危惧している。

「たとえば、中学受験期に入り、勉強時間が長くなれば自然とおなかは減ります。脳がグルコース(ブドウ糖)を使い、かなりのエネルギーを使うからです。そんなときには、ご飯を多めに取っても問題ありません。『ご飯=糖質』は脳のエネルギー源ですから、これを食べないことには脳は働かず、集中力もつかないのです」

ところで、「カルシウム不足でイライラする」と広く言われているが、「それは言い過ぎではないか」と、上西先生が教えてくれた。

「カルシウムが少なくなってくると神経の伝達に支障を来すことはあるでしょう。ただ、そこまでカルシウムがなくなったら、イライラする前に、筋肉が硬直するなどもっと重篤な事態が起こるはずです。一方、牛乳を飲むとイライラがおさまるのは本当です。これは、牛乳に含まれるタンパク質にイライラを抑える効果があるからです」

夜、温めた牛乳を飲めばカルシウムも取れ、ゆったり気を静めることができる。そして、決まった時間に就寝すれば、成長ホルモンもしっかり出てくれる。子供を無理なダイエットに走らせることは絶対に避けるべきなのだ。

上西一弘
女子栄養大学栄養生理学研究室教授。徳島大学大学院栄養学研究科修士課程修了後、雪印乳業生物科学研究所を経て、1991年より女子栄養大学に。専門は栄養生理学、カルシウムの吸収・利用に関する研究など。