体の不調を引き起こす足の形は10歳で決まる
「ひざを閉じて座れない」「O脚で足が開いていてミニスカートやスキニーパンツをはくのが恥ずかしい」。そんな悩みを抱えているのは、実は大人の女性だけではないらしい。平均身長が伸び、スラリと足の長い子供が増えている一方で、O脚の子供が増えているのだ。
カサハラフットケア整体院院長としてこれまでに10万人以上の足を診察し、足と健康との関係を追究してきた笠原巖先生。「一生の足の形は10歳前後までに決まってしまう」と先生は断言する。
「O脚のままでは姿勢も全身のバランスも悪くなり、あちこちに不調が出てくる。それは大人も子供も同じこと。現在O脚に悩み、肩コリや首コリ、頭痛、冷え症などといった不調を訴えているお母さんも、元をただせばその不調は子供のころから始まっていたのです。だからこそ、10歳までの時期はとても重要です」
まずイラストにある、6種類の足の形を見てほしい。あなたやあなたの子供はどの形に近いだろうか。
「O脚、と一言で片づけてしまいがちですが、私の研究によるとO脚は5種類に分けられます」
ひざから下が開く“ひざ下のO脚”、股関節が開く“股関節のO脚”、ひざ下と股関節が開く“ひざ下と股関節のO脚”、そのほかにひざはつくけれどひざ下と股が開く“XO脚”、ひざはつくけれどひざから下がハの字に開く“X脚”がそれだ。
「それぞれゆがみ方と症状は異なりますが、共通しているのは、ほとんどの人に『外反母趾(ぼし)』や『浮き指』によるねじれ歩行が見られることです」
外反母趾とは、足の親指が小指側に15度以上曲がっている状態を指し、それが30度以上になると体に悪影響を及ぼす。浮き指は、力を抜いた状態で足の親指を甲側に限界まで押したとき、90度以上反った状態になること。通常は90度以内で止まる。一見するとわからないが、最近は外反母趾以上に激増しているという。
「これらの足裏の異常は、幼児期に足裏への刺激が少なかったことが原因です。たとえば、生後まもない赤ちゃんの手のひらを指でつつくと、赤ちゃんはギュッと握り返してきます。これが把握反射です。同様に、足も刺激を与えることでギュッと踏ん張る力が鍛えられます。ところが、歩き始めのころに靴や靴下を履かせて、平らなところばかりを歩かせると、足裏への刺激が足りず踏ん張る力が鍛えられません。そのため、足のアーチが発達せずに、外反母趾や浮き指になるのです」