ちなみに、土の上やデコボコ道をはだしで歩き回っている国の人たちに外反母趾はほとんど見られないという。
「通常、利き足となる右足は地面からの衝撃を吸収し、左足はねじれを吸収する役目を果たしています。しかし、外反母趾や浮き指などの足裏の異常があると、歩くときに足先が外方向に流れる“ねじれ歩行”となり、過剰な衝撃とねじれが発生するのです」
その大きなストレスが全身に伝わり、股関節や骨盤のゆがみや変形を引き起こす。これがO脚の根本原因なのだそうだ。笠原先生によると、さらに猫背、側彎(そくわん)症、首や肩のコリ、頭痛、めまい、胃腸障害、さらには自律神経失調状態などを引き起こす場合もあるというから恐ろしい。
「土台(=足裏)のバランスが悪ければ、その上部(=ひざ、股関節、骨盤、腰、背骨、首)でバランスをとろうとするため、ゆがんでしまう。積み木を想像してみてください。積み木の土台のバランスが悪いとき、その上の積み木を反対にずらすことでバランスをとりますよね」
歩くとき、かかとから着地していませんか
「O脚を改善するためには体の土台から修復することが大事です」と笠原先生。そのためにはまず、足裏のバランスを整えて、正しい歩き方を身につけることが必要だという。
正常な足裏には、(1)指部の横アーチ、(2)中足関節の横アーチ、(3)指部の縦アーチ、(4)土踏まずの縦アーチの4つのアーチがある。足裏の刺激不足によりこのうちの1つでも欠けたり、弱まったりすると、外反母趾や浮き指などの足裏の異常が起こる。すると、足の指に力が入らず、指の付け根とかかとだけで着地する2点歩行になってしまう。
「4つのアーチを取り戻し、足裏を正常に戻すためには、足の指先、指の付け根、かかとの3点で着地する3点歩行に戻さなければなりません」
一般的に、ひざを伸ばしきって、かかとから着地するのが正しい歩き方だといわれているが、それは間違いだと笠原先生は言い切る。
「モデルが自分を美しく見せるための歩き方と、健康のための正しい歩き方は違います。かかとから着地するのは危険行為。わずか20センチくらいのところから飛び降りるとき、かかとから着地する人はいません。かかとから着地すると、地面からの突き上げがひざ、腰、首、頭へと直撃します」
では、正しい歩き方とは?