どうして本当にうちの子は、もう! 朝は寝坊すけだし、家ではいつもダラダラで、注意すれば逆ギレするし。そんな、わが子の問題、実は食事で解決するかもしれません。
相談:CASE5――娘の算数の成績が下がってしまいました
小学校低学年のころから算数が好きで、得意教科だった娘。ところが高学年になってからというもの、成績が下降気味です。もともと真面目で、予習・復習もきちんとするタイプ。最近は国語や社会の勉強時間を削って算数に力を入れていますが、テストの結果に表れず、本人もすっかり自信をなくしています。中学受験を控えているので心配です。

伊保子先生の脳科学診断

小学校高学年になるにつれ、算数が苦手になる女子の話はよく聞きます。たしかに、男性脳は空間認識力が高く、数学や物理学の、現実と乖離(かいり)した世界観をつかみやすいのは事実。けれど、そんな性差が出てくるのは高等数学になってから。高校までの理系の科目では、どう分析してみても、その理解力に性差が障壁になるとは思えません。

なのに、明らかに、理系科目は男子の独壇場。私が在籍した高校の国立理系進学クラスでも、50人中、女子は6人しかいませんでした。

長らく解けなかったその謎を、智春先生が鮮やかに解いてくれました。要は、鉄分不足による脳の失速。

私たちの脳は、ブドウ糖を電気エネルギーとして大量消費しますが、意識を保つために大量に使うものがもう1つあります。酸素です。酸素は呼吸によって供給されますが、肺から脳に運ぶために、血中を鉄にくっついて運ばれていきます。鉄がないと酸素も脳に届かない。つまり、貧血は貧脳。女子には生理があるため、うっかりすると、月に何日か脳が失速してしまいます。

理系の科目は、積み上げの学問。ある単元が抜けてしまうと、後がわからなくなります。ムラのある脳では、なかなか太刀打ちできないのです。というわけで、女子の算数苦手も、食べ物で防御。血液栄養診断士の佐藤智春先生、よろしくお願いします。

脳科学者 黒川伊保子
感性リサーチ代表。感性アナリスト。
人工知能の研究に携わったのち、脳と言語の研究に。脳科学の視点から子育てのアドバイスもしている。