まず第1に、カルシウムを多く含む牛乳や乳製品にダイエット効果があるのではないか、との見方が栄養学の世界で出始めている点。

「まだ仮説の段階なので、メカニズムは明確にわかっていません。ただ、私たちが女子高生を対象に調べたところ、牛乳や乳製品を習慣的に多く取る子供のほうが、あまり取らない子供より体脂肪率が低く、ウエストも比較的細かったのです。しかも、1日に摂取しているエネルギーはより多い。しっかり飲んで食べて体脂肪率が低いのですから理想的です」

また牛乳や乳製品を習慣的に取る男性の場合、血圧が低い値を示したという。つまり、子供だけでなく、ママやパパも美容効果を得たり、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防・改善に、牛乳や乳製品が有効かもしれないというわけだ。

そして第2に、カルシウムを取ると身長が伸びるので、スラリとした容姿になれる可能性があることである。

「もちろん、カルシウムだけではダメで、タンパク質やビタミンなど、トータルでの栄養バランスが必要です。ただ、その中でもカルシウムは、背を高くするのに不可欠な栄養素です。『カルシウムを取らないと骨粗鬆症になっちゃうよ』と言っても耳を傾けてくれない子供でも、『背が高くなってモデルさんのような体形になるよ』と言えば食いつきがいい」

ただ、その際重要なのは、カルシウムを多く含む食品を取るのと並行して、規則正しく睡眠をとることだという。「特に就寝時間を固定させること。骨を大きく形成する成長ホルモンは夜に分泌されます。就寝時間が毎日バラバラで不規則な生活をすると、成長ホルモンが規則正しくきちんと出てこなくなるのです」

トップクラスの一貫校に入る子供は総じて体格がいい

さらに第3は、在校生の多くが東大を目指すような超ハイレベルの進学校に通う“頭のいい子”は、ほとんどがバランスよく食べていて、体格・スタイルもいいという事実。

女子栄養大学ではこの6年間、全国トップクラスの東大合格者数を毎年出している中高一貫校と、やや上レベルの進学校、普通の学校という3校において、日常家庭での食品摂取の内容を年1回のペースで定点調査している。中学に入ったばかりの子供たちが高校卒業まで、“何を食べて育っているのか”追跡調査しているのだ。