さて本題である。W杯ブラジル大会(来年6~7月)に向け、代表チームをどう強化していくのか。異国の地のナショナルチームを初めて大舞台に連れていく。期待は大きい。人気スポーツゆえ、サポーターや辛口メディアの視線は厳しい。称賛と罵倒は紙一重であろう。

――イタリアのときにはなかったストレスはありませんか?

「幸か不幸か、日本語が読めませんので、ニュースを目にすることがないのはいいことかな、と思っています。イタリアにいたときは、担当記者であったり、評論家であったり、日常的に関わらないといけない人がいました。日本の場合は、日常的な記者との関係をつくらなくてもいいし、1度に記者会見で発表すれば事足りるので逆にストレスは小さいかもしれません。そういう意味で、自分の仕事に集中できています。(大会中以外は)移動して、試合を見て、報告しての連続です。この3年間で200試合ぐらいは試合を見てきました。自分の仕事に集中できる環境にあります」

――日本の新聞は見出しもわからないのですか?

「ノー。わからない。しかし、新聞の見出しが読める読めないは大きな問題ではなくて、結局、自分のやりたいこと、目指していることに向かって、周りの意見に左右されず、遠回りしないでそこに進めるかどうかということが大事だと思います。自分の中には明確なアイデアがありますので。自分の仕事はちょっと会社組織とは違います。企業であれば、世の中の需要に左右されたり、合わせていったりしないといけないと思いますが、自分の仕事はあまりそんなことに目を向けなくていいのです。応援してくれる周囲の人間がくれるエネルギーが、チームの原動力になっています」

――ところで生活のストレスはないでしょうか。リフレッシュ法は?

「散歩したり、外食にいったりすることでしょうか。日常生活を有名人として送るわけではなく、できるだけ一般人と同じスタイルを心掛けています。人目を気にせず、道を歩いたり、移動のときは極力、地下鉄を利用したりすることです」

――レストランはイタリアンですか?

「もちろん、イタリアンにも行きますが、和食、中華などたくさんバリエーションを持っています」

――チューブ入りのワサビが大好物なのは有名な話である。白米にワサビを混ぜ込んで食べるほど。聞こうとしたら、広報から「この2年、ワサビのことをすごく聞かれていますから、その質問は」と言われた。では、と方向転換。「マスタード(からし)」は?

「マスタードはそんなに好きじゃない。ワサビは大好きですけど……。ハハハ。もう、みんな知っていますよね」