パナホーム代表取締役社長 
藤井康照
(やすてる)

そうした中、18年度の売上高で半分を占める新築請負事業でポイントとなるのが、新しく打ち出した「首都圏攻略」戦略だ。新築着工件数は、14年度以降には減少傾向に転じると予測される中で、人口が増加し続ける首都圏を対象に「3~5階建ての建物」という、パナホームならではの提案を行っていく考えだ。

「4階建て以上の新築物件ではトップを争う実績を持つ。多層階の専門営業チームを設置し、容積率および建ぺい率が高い、狭小地の多い地区に対して重点営業を行っていく」

と、パナホームの藤井康照社長は語る。パナホームは今年4月に、日本各地から実績のある営業マンを集め、首都圏の営業担当者数を1.7倍に拡大したところだ。

パナホームのもう1つの戦略商品が、創業50周年記念商品の「カサート エコ・コルディス」で、藤井社長は、

「南向きの片流れ大屋根に、パナソニックのHIT太陽光発電パネルを敷き詰めて屋根を構成する、新たなデザインを採用した環境型住宅」

Fujisawaサスティナブル・スマートタウンの工事現場。街開きは2014年春を予定している。

という。3月の中期経営計画発表時に、パナソニックの津賀社長が唯一会見場に持ち込んだのが、エコ・コルディスの模型で、この事例からもグループとして力を入れている商品の1つであることがわかる。4月の発売から3カ月で178棟を受注し、年間1000棟の販売に向けて、まずまずの滑り出しだ。

このエコ・コルディスは、パナソニックが取り組むスマートシティプロジェクト「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン(以下、Fujisawa SST)」の主力住宅のひとつにも採用される予定だ。

Fujisawa SSTは、東京ドーム4個分にあたる約19ヘクタール(約6万坪)の敷地に、約1000戸の住宅と商業施設、公益施設が計画されている。総事業費は約600億円で、14年春の街開きを予定している。この街全体を管理するFujisawa SSTマネジメントの宮原智彦社長は、

「様々なビジネスパートナーと共同で展開するBtoBの事業モデルを実践する場がFujisawa SST 。さらに、パナソニックの環境商品の使い方を提案し、顧客に理解してもらう役割も担う」

と話す。