2013年夏の参院選では、各党ともにCMなどのマス広告だけでなく、ネット上で支持者との交流につとめる戦術を取ったのは記憶に新しい。
オウンドメディア(Owned media)とは、企業などが自ら発信するメディアのこと。企業サイトや自社で発行する印刷物などがそれにあたる。一方、従来型のマス広告はペイドメディア(Paid media)、ソーシャルメディアなど拡散型のものはアーンドメディア(Earned media)と呼ばれる。
たとえば米国コカ・コーラ社のグローバルサイト「Coca-Cola Journey」がその代表だ。一見、ニュースサイトのようにも見えるこのサイトだが、「企業が一方的に情報を『伝える』メディアから、共にコカ・コーラのファンとして思いを共有する、『伝わる』メディアへ進化した」とトライベック・ストラテジー取締役COOの後藤洋氏は評価する。国内でも日本コカ・コーラ社、トヨタ自動車、資生堂などの大手企業がオウンドメディアに積極的に投資し、支持を得ている。
では、参院選ではどうだったか。「各政党は一方的に情報を『伝える』活動しかしていない。政党や政治家ひとりひとりの『らしさ』が伝わったかというと疑問」と後藤氏は指摘する。
オウンドメディアは自社でコントロールできる半面、手間や人件費がかかる可能性もある。「運用にあたっては、“企業らしさとは何か”“誰とコミュニケーションすべきか”“どのような結果がほしいのか”を常に明らかにしておく必要がある」(後藤氏)。安易な運用には気をつけるべきだろう。