「脳内マップ」が記憶を助ける

紙媒体で文章を読む場合、私たちの脳は無意識のうちに、文章の位置を空間的に記憶していますが、これを脳科学では「空間的ナビゲーション」と呼びます。いわば、頭の中に地図を作り、その中で情報を整理している状態です。紙の本を読むとき、私たちの脳はまるでGPSのように働くのです。この脳のしくみにより、紙媒体では内容が記憶に定着しやすいのです。

【図表1】読書中の空間的ナビゲーション
出典=毛内拡『読書する脳』(SB新書)

一方で、スマートフォンやタブレットなどのデジタル媒体では、画面のスクロールやリンクのクリックなど、紙にはない追加の操作が頻繁に必要となります。これにより、情報への注意力が散漫になりやすくなり、その意味を集中して理解することが難しくなります。

また、スマートフォンに頻繁に届く通知は、脳の前側に位置する、物事を整理したり注意を集中させたりする「前頭前野ぜんとうぜんや」という部分に負担をかけます。これは「前頭前野の過活動」と呼ばれ、脳が過度に働きすぎて疲れてしまう状態です。この状態が続くと、集中力や深く考える力が低下してしまい、文章内容の理解や記憶にも悪影響が及びます。