人間の手では決して作れない”奇跡”

ご存知の方も多いと思うが、トリュフには「黒」と「白」がある。世界三大珍味として有名な黒トリュフ(フランス・ペリゴール産などが有名)は、近年の技術革新により、ホストとなる木(ナラやカシ)の根に菌根菌を定着させる「人工栽培(養殖)」がある程度可能になっている。つまり、計画生産ができる農作物になりつつあるのだ。

しかし、「白トリュフ」は違う。白トリュフはあまりに気難しく、特定の土壌、特定の湿度、そして特定の樹木との共生関係が複雑に絡み合い、いまだに人間のコントロールを拒み続けている。現代のバイオテクノロジーをもってしても、完全な養殖技術は確立されていない。

つまり、アルバの市場に並んでいるのは、すべて「自然からの偶然の贈り物」であり、再現性のない一点物なのだ。富裕層が熱狂するのは、単なる味覚ではない。お金の力でも、科学の力でも支配できない「完全なる自然」を手に入れる征服欲を満たしてくれるからだ。「買えないものはない」と信じる彼らにとって、「人の手では再現できないもの」ほど魅力的な投資対象はないのである。