断食より「糖質断食」を
今、イスラム教の国で糖尿病や肥満が増えています。イスラム教にはラマダンという習慣があります。ラマダンは断食月ともいわれ、1カ月間、日の出から日の入りまで一切の飲食が禁止されます。
この1カ月間は、半日のファスティングを毎日行なっているようなものです。日没後、空きっ腹に食べ物を入れる日々が続き、そのたびに血糖値の急上昇が起きているはずです。
また、ラマダンが明けたとき、人々はイードという祭りを行なって、ご馳走を楽しみます。
基本的にイスラム教徒はお酒を飲まない代わりに、甘いものを好んで食べます。ここでも、血糖値の急上昇が起きていると思われます。
とはいえ、ラマダンは彼らにとって宗教上の大切な決まりであり、私が口を挟む問題ではありません。それに、子どもの頃からの習慣となっていれば、体も慣れているでしょう。
しかし、日本人はそうではありません。デトックスやダイエットを理由に、安易にファスティングに手を出すのは危険です。
あらゆる食べ物を断つファスティングをするよりも、「糖質だけを断食」するのはいかがでしょうか。健康を損ねずにダイエットをする良い方法だと思います。
夕食での食べすぎは避ける
「腹が減っては戦はできぬ」というように、空腹では力を発揮するのは難しいものです。「力を発揮するために、腹ごしらえをしておきたい」と思う人も多いのではないでしょうか。
「腹が減っては戦はできぬ」は、医者からしても理にかなっている言葉です。なぜなら、1日の食事量は、活動の要となる朝と昼を多めに、夜を少なめにするバランスが理想だからです。
夜勤のある仕事に就いている人などは例外として、私たちの活動量は、朝から夕方にかけて多くなります。そのため、朝食や昼食で摂ったエネルギーは日中の活動によってたいてい使われます。一方で、夕食後はほぼ寝るだけなので、夕食での食べすぎは避けたほうが良いのです。
しかしながら、多くの人にとって、3食のうち一番時間を費やせるのが夕食ではないでしょうか。その日の仕事から解放された夕食の時間には、つい気が緩んでたくさん食べてしまいがちですが、おいしいものをほどほどの量、ゆっくりと味わうのが正解です。
夕食にドカ食いすると、翌朝は胃がもたれ、朝食をあまり食べられません。そうして朝食を食べないと、お昼には空腹感が強くドカ食いすることになります。お昼にドカ食いすると、そのぶん夕食も遅くなり、また翌朝は胃がもたれます。
つまり、夜のドカ食いによって、活動量の減ってくる時間帯にたくさん食べる食習慣ができ上がってしまうのです。こうした食べ方をすれば、当然太りやすくなり、さまざまな生活習慣病のリスクが上がります。

