拡張と深化の両輪でファンベースを育てる
カンロは、「ヒトツブカンロ」などの直営店や自社EC「Kanro POCKeT」を通じて、Z世代に向けた購買接点の拡張を図っています。
店頭ではわずか3秒で決まる購買に訴求力が求められる一方、オンラインではストーリー性やブランドの思想をじっくり伝えることが可能です。
さらに、ファンとの関係性を深める「深化」の取り組みとして、限定情報の配信やイベント参加などができるクローズドコミュニティの運営も開始しました。参加者の声を商品開発やコミュニケーションに反映させる仕組みによって、「選ばれる理由」をデザインしています。
飴を通じて「自分らしさ」や「共感」を感じられる体験を提供することで、単なる消費行動を「意味ある選択」へと転換。拡張と深化という両輪をバランス良く動かすことが、Z世代との長期的な関係構築に不可欠なのです。
飴の「言い換え」が起こすパーセプションチェンジ
Z世代にとって「飴」という言葉が持つイメージは、どこか古臭く、魅力に欠けるものでした。そこでカンロは、「飴の再定義」を掲げ、パーセプションチェンジ(認識の転換)を意識したアプローチを重ねています。
例えば水筒が「タンブラー」として再ブームを迎えたように、名称や文脈を変えることで価値の再発見が可能になるという発想です。
また、飴に「味覚以外の意味」を持たせることで、Z世代の情緒や日常とつながる接点を拡張しようとしています。感情のゆらぎに寄り添う「静かな癒し」としての飴を定義し、その体験価値を言語化・可視化、新たな日常の一部として位置づけることを促しています。さらには、カンロは、SNS映えする見た目や、感情にひもづくネーミングなど、言葉と視覚の両面での再設計を進めることで、「古いお菓子」を「今の気分に合うアイテム」へと変貌させつつあります。

