「唐揚げより蒸し鶏のほうが健康に良い」に根拠はない
みなさんは、こんな健康情報も信じてはいないでしょうか。
「調理法は『生→茹でる→蒸す→煮る→焼く→揚げる』の順に、食品中のAGEsが増える。だから、揚げ物は避けて、生や茹でて食べたほうがいい」といった情報です。
「揚げ物や焼き物を食べるくらいなら、蒸し物や煮物にしたほうが健康によい」
そんなことが書かれている本や記事、そして健康情報も、たびたび目にします。
しかし、食品中にどれほどのAGEsが含まれているかを正確に測定するのは、現在の科学では難しいのが現状です。
たしかに、揚げ物は加熱の温度が高く、きつね色や茶色になりやすいため、「こんがり焼けた食品=糖化が進んでいる」と思われがちです。
ところが、「唐揚げを食べると老化が進み、蒸し鶏は体によい」といった二項対立の考え方に、エビデンスはないのです。
揚げ物をよく食べる東南アジアの人々は不健康なのか
体内で発生したAGEsが老化促進物質であることは事実ですが、そもそも口から入れたAGEsが体内でどれほどの悪さをするのか、ということを調べたエビデンスはない――ここが重要です。
実際、本当に揚げ物が体に悪いのだとしたら、それを日常的に食べる国の人たちは、他の国々より老化が進みやすいことになります。
たとえば、東南アジアの国々では、衛生上、揚げ物をよく食べます。しかし、疫学上、糖尿病などの生活習慣病が際立って多いというデータはありません。
つまり、「揚げ物は糖化を促進し、蒸し物は安全」という単純な図式で食事を語ることには無理があるのです。



