AGEsを正確に測定する方法は存在しない

私たちはその情報の信憑性を確かめるため、「食品中のAGEsの含有量が多いものほど、体の細胞を傷つけ、糖化を促進する」ことを測定しようとしました。

ところが、その検証はできませんでした。なぜなら、現時点では、「あらゆる食品中のAGEsを正確に測定する方法」が存在していないからです。

国内には多数の分析機関がありますが、AGEsの定量分析を請け負っている機関は一つもありません。分析法が確立していないため、検証すら不可能なのです。

さらに、血中に吸収されたAGEs量や、尿や糞便中に排泄されたAGEs量を正確に測定する方法もないのです。

それにもかかわらず、「数字」だけが独り歩きし、日本語に翻訳されたデータでは、焼きおにぎりや照り焼き、唐揚げ、アジフライといった日本の伝統的な食べ物まで「AGEsが多いから危険」と断じられてしまっているのです。

その根拠に、明確なエビデンスがあるわけではありません。

きちんとした科学的裏づけがないまま、「こんがり焼けた食品はすべて有害」と決めつけられている。これが現状なのです。

AGEsの大部分は腎機能によって排出される

食品中のAGEs量を測定する方法は確立されていませんが、多少なりともAGEsが体内にとり込まれることは予測できます。加熱調理をすれば、糖とタンパク質が結びつき、AGEsが生成されること自体は事実だからです。

しかし、腎機能が正常であるならば、体外からとり込まれたAGEsの大部分は、腎臓の働きによって排出されます。体には、そのための代謝・排泄機構が備わっているからです。

では、食品中のAGEsは、実際にどの程度体内に残るのでしょうか?