ミシュラン社はこれまで都市別に「ミシュランガイド」を発表・刊行してきた。しかし今回のホテル版「ミシュランキー」は、同社の歴史上初めての世界同時発表である。
インターナショナル・ディレクターのグウェンダル・プレネック氏は語る。
「最近のデータでは、旅行者の74%が旅先を選ぶ際の決定要因の一つがミシュランガイドだと挙げています。店の経営側のデータも興味深く、82%の経営者がミシュランガイド掲載後に売り上げが伸びたと答え、約60%の経営者が新規人材の採用やスタッフのモチベーションアップにも役立ったといいます(※出典:英国Ernst & Young社「Beyond the MICHELIN Stars」)。我々は長い時間をかけて美食体験を求める人々に貢献してきたと自負していますが、今やその期待が“旅”という部分にまで届いていることも理解しています。ホテル版を出すことは使命でした」
「ミシュランらしさ」をホテルの調査にも反映
しかし、世界中のレストランを調査するだけでも大変なことなのに、ホテルまでどうやって調査しているのだろうか。
「世界中のインスペクター(覆面調査員)が担当します。基本的に彼らはレストランとホテルの両方を調査しますが、中にはレストラン調査に特化したインスペクターもいるし、ホテル調査を得意とする者もいる。大切にしているのは、どこが劣っているとか不備があるとかの判断よりも、そのホテルに滞在することでどんな体験ができ、どんな感動を得られるかに重点をおいているということです」(グウェンダル・プレネック氏)
老舗系ホテルランキングガイドでは、調査員は何百にもわたるチェックリストを片手に、一つ一つの項目をつぶさに調べると聞く。逆に、人気投票的に個人の思惑や好みで投票する結果で決まるガイドもある。この点、ミシュラン社の戦略というのが「体験と感動」であるというのが意外でもあったが、確かに結果にも反映されている感じがある。


