演説上手な「紋切型」の基本とは

英語では「まずは結論」というのは、つまり「何が+どうした」が冒頭でわかる構造となっていること。もちろん例外はありながら、これが英文の基礎だ。

<英語>

私は見かけた。 同僚を。 公園で。 昨日。

I saw  my co-worker at the park yesterday.

私は見かけなかった。

I didn’t see ~

<日本語>

私は 昨日 公園で 同僚を 見かけた(見かけなかった)。

日本語は主語から結論までの距離が長く、いくらでも単語の並べ替えはできるし、最後の最後に「見かけなかった」と否定する可能性だってある。結論までの間にいろんな文章が挟まることで、何がポイントだったかも曖昧にしやすい。もちろん、そんな曖昧さが日本語の魅力でもある一方で、内容をボカシたいときに便利な言葉ともいえるかもしれない。

一方の英語は、最初に「私は会った」あるいは「会わなかった」と伝えるために、結論を曖昧にしにくくなる。

実は、日本人で演説がうまい、わかりやすい、聞きやすい……とされる人たちには、間合いや話の構成などもうまいのだが、この英語のような語順で、紋切型の発言をする人が多い。そんな政治家の遊説を聞いて書き起こしてみると、この英語の語順の基礎型にあてはめるかのように話していた。つまり結論を最初に、あるいは端的に伝えてくれるのだ。しかも短い文で言いたいことがつかみやすい。たとえば、小泉進次郎氏の遊説にこんな一節があった。