時間を長く感じたり,短く感じたりするのはなぜか。作業療法士の菅原洋平さんは「同じ1時間でも行為に主体性があるかどうかで感じ方が大きく異なる。時間の質を向上させるには、タスクを自分のコントロール下に置くことが必要だ」という――。(第1回)

※本稿は、菅原洋平『多忙感』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

右肩上がりのグラフが描く上向き矢印を指す男性
写真=iStock.com/metamorworks
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「一瞬で終わる1時間」と「死ぬほど長い1時間」があるワケ

あなたにも、こんな経験があると思います。

突然1時間の会議に呼び出され、予定していた作業ができなくなった。

「また時間が足りなくなった……」と頭を抱える。その1時間がとてつもなく長く感じられ、イライラが募る。

一方で、好きなプロジェクトに没頭していたら、気づけば1時間が経っていた。

「もうこんな時間?」と驚きながらも、心地よい疲労を感じつつ「いい時間だったな」と振り返る。

同じ1時間なのに、なぜこれほど感覚が違うのでしょうか?

これまで、私たちは時間の悩みを「量」の問題だと思ってきました。

「もっと時間があれば……」
「もっと効率よくできれば……」
「もっと早く終われば……」

でも、どれだけ時短テクニックを駆使しても、どれだけタスクを効率的にこなしても、根本的な充足感は得られません。

なぜでしょうか。

それは、多忙感の本質が「時間が足りない」ことではないからです。

退屈な仕事を「楽しい時間」に変える

多忙感の本質は、実態と感覚の差異にあります。

言い換えれば、時間の量と質の差異です。

時短や効率化は、時間の「量」だけを対象にした問題解決で、「質」に対する解決が抜け落ちていました。

では、どうすれば時間の質を上げることができるのでしょうか?

その答えは、冒頭の2つの時間感覚の違いを分析することで見えてきます。

会議に振り回された1時間は、「突然決まった会議」に「追いかけられる」ように参加し、「予定が狂わされた」感覚でした。

一方、プロジェクトに没頭した1時間は、「自分で選んで」「自分のペースで」「自分なりのやり方で」進めていた時間でした。

この違いこそが、多忙感を解消するための鍵です。

つまり、自分が主体的に行動している感覚が得られるかどうかです。

この感覚を「行為主体感」と呼びます。

「行為主体感」が得られれば、多忙感を覚えることはなくなります。