昭和52年10月、経営破たんした安宅産業との合併に際し、当時の伊藤忠副社長だった瀬島が提示した条件である。これ以上なくずばり直球、痛快といってもいいだろう。
ふたつの例を冒頭に挙げたのはビジネスマンが文章を書く際、気をつけなくてはいけない点が、ここに言い尽くされているからだ。
ビジネスマンは「ポイントを絞って短く書く」こと。それが第一義だから、本来は文章のなかに笑いや哀しみといった情感を加える必要はない。ただし、人を真剣に説得しようと思ったら、無機質なビジネス一本やりの文章では通用しない場合もある。相手の琴線に触れるメッセージを発しなくてはならないのである。そういったことを考えると、心を動かす情緒的な文章とは何かを知っておいて損はないだろう。
(PANA=写真)