コラムニスト 島地勝彦(しまじ・かつひこ)
1941年生まれ。集英社入社後、「週刊プレイボーイ」「Bart」などの編集長を歴任し、柴田錬三郎、今東光、開高健など名だたる文豪たちと仕事を重ねた名編集者。2008年に退社後、現在はコラムニストとして活躍。著書に『乗り移り人生相談』など。
1941年生まれ。集英社入社後、「週刊プレイボーイ」「Bart」などの編集長を歴任し、柴田錬三郎、今東光、開高健など名だたる文豪たちと仕事を重ねた名編集者。2008年に退社後、現在はコラムニストとして活躍。著書に『乗り移り人生相談』など。
小説やノンフィクションは苦手。たまに読むのはビジネス書ばかりというあなた。名だたる文豪たちと数多の作品を手がけた名編集者にしてコラムニストが麗しき本の世界へ誘う。
いい本で偉人たちの「愚かさ」を知ろう
すぐれた本には「泣ける」面と「笑える」面の両方がしっかり備わっているものである。対極にある要素を併せ持つ――。それは、すぐれた本の登場人物にも共通している。彼らの多くは「ロマンティック」で「愚か者」である。崇高でありながら、同時に滑稽なほど愚かなのだ。わたしは、こうした本の中の登場人物たちに憧れ、彼らのような生き方を実践しようとしてきた。
島地勝彦氏
ロマンティックさは、すべてをなげうち、ひとつのことに取り組む姿勢から生まれる。政治、芸術、恋愛、ビジネス……、追いかける対象は人それぞれ違うが、徹底的にのめり込むところは同じ。でも、対象以外のことがまるっきり苦手だったりして、社会通念上は愚か者。彼らは感涙するような見事な成果を残すけれど、笑えるほどダメ人間だったりするのだ。
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