男性はかなり単純

女性は、お気に入りのシチュエーションを扱う作品を買い求める傾向があります。そして、そのシチュエーションは、「カップリング」(キャラクターの組み合わせ)が重要な要素となります。「カップリング」が男性同士であれば「ボーイズラブ」(BL)となり、女性向け同人誌の一大ジャンルです。

女性向け同人誌の専門店に行くと、作品が「(キャラクターA)×(キャラクターB)」と書かれたタグで配列されていることが多いのですが、これは性別に関係なく、Aが「攻め」と呼ばれる男性役で、Bが「受け」と呼ばれる女性役のシチュエーションである作品を表しています。2人の関係は、軽い友達である場合もあれば、性的な表現がある場合もあり、それは個人が求めるシチュエーション次第です。ただし、同じカップリングでも「A×B」と「B×A」では全く異なる作品に分類されます。

多くの女性を惹きつけるシチュエーションを生み出せるアニメやゲームなどのコンテンツがあれば、それに合わせて新しいカップリングの同人誌が生まれます。自分の好みに合うシチュエーションの作品であればすべて買い求め、コミケで数十万円の出費をする女性もいます。その変わり、求めるシチュエーションでなければ、女性は全くお金を出しません。女性向け同人誌の市場を読むのは、とても難しいとされています。

それに対して、男性はかなり単純です。シチュエーションはあまり重要ではなく、自分を惹きつける容姿のキャラクターがエッチなことをしていれば、買い求めます。男性向け同人誌の専門店では、作品が元ネタの作品タイトル別に配置され、その中で、同人サークル別に分類されていることが多い。これは、自分の好みの絵柄のキャラクターを見つけやすくしているためです。あるカップリングにこだわる一途な性格の女性とは違い、男性は浮気性なので、特にコミケの際はお祭り気分も合わさって、可愛い女の子の絵を見つけると、ついつい衝動買いをしてしまう。コミケ会場でATMの前に行列を作っているのは、だいたい男性です。

ただし、人気の同人誌は、BLや18禁ものばかりではありません。この夏のコミケでは「男性向け」と合わせて、主に2日目に割り当てられたのが、「評論・情報系同人誌」です。この種の同人誌には、「コミックとらのあな」から独立して、今は秋葉原中央通り沿いに店舗を構える「COMIC ZIN」が強い。私も「コミケ4日目」にこの店に行ってみました。