SNSでは「#老害」をつけて投稿するのが1つの定番だ。相手のためを思ったアドバイスでもすぐ炎上する。ビジネスパーソンの心情に詳しい健康社会学者の河合薫さんは「“老害”を自称するのは単なる自虐や謙遜ではなく、各世代や個人の価値観、そして組織内での立ち位置をめぐる中高年の複雑な心理の表れではないか」という――。(第1回/全2回)

※本稿は、河合薫『「老害」と呼ばれたくない私たち』(日本経済新聞出版)の一部を再編集したものです。

「#老害」というトレンド

若者が気に入らない上司や年長者の言動を、SNSで「#老害」をつけて投稿するのが昨今の風潮だ。

2年ほど前だったと記憶しているが、X(旧Twitter)に一人の男性が「老害意見かもしれないけど」と前置きして書いた投稿が、瞬く間に炎上し、トレンド入りした(以下、男性の投稿)。

「老害意見かも知れないけど、若い方は飲み会で年上の方におごってもらったら翌日の朝一番で対面でお礼言いに行ったほうがいいと思います」

これに、SNSは大盛り上がり!

頭を抱えた中高年ビジネスパーソン
写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです

否定派・肯定派入り乱れた大激論…

「その前に誘わないでほしい」
「誘われるの嫌だからもう会社やめたい」
「その場のお礼で十分」
「今の時代に合ってない」
「年配側が付き合ってもらった礼を言ったほうがいい」
「飲み会に残業代払ってから言え」
「お礼は強要するものじゃない」

……といった否定派から、

「これは老害意見ではない。マナーとして当たり前」
「若い奴、ホント礼を言わない」
「こういうことが人間付き合いに役立つと自覚せよ」
「言ってもらえるうちが花なんだよ」

……といった肯定派まで。

あまりのバズりっぷりに男性も驚いたようで、翌日には、「一方的なアドバイスになったこと、飲み会で嫌な思いをされた方への想像もつかなかったことはお詫びします」と謝罪投稿をする事態に発展した。

するとこのコメント欄に、「自分も老害に足を踏み入れている」「もう老害の域だ」と自嘲的なコメントが殺到した。