同人は同人の「こころ」を知る

コミケを実際に見たことがない方は、市販雑誌に掲載されるマンガやテレビで放映しているアニメを元ネタとする二次創作が、コミケ会場の主流だと思われるでしょう。確かにそれも多いのですが、実際は同人が生み出したゲーム世界「東方」が、最も人気を集めているのです。

「東方project」がコミケでの最大のジャンルになり得たのは、同人活動を熟知した版権管理の手法に理由があります。

「東方project」は、妖怪・妖精たちと人間がいっしょに暮らす和風の世界が舞台で、登場キャラクターの殆どが萌え系美少女です。「東方」を制作する「上海アリス幻樂団」は、そのキャラクターや、ゲーム中に使用されている音楽に関して、二次創作物のガイドラインを公開し、同人作品である限り、二次創作活動を原則自由に行ってもよいとしています。さらに、二次創作物の著作権は、その作品の制作者にあるとしています。

「東方」の二次創作物に対する権利の無償提供は、新たな二次創作物が生まれるきっかけとなりました。しかも、その同人活動への真摯な理解ある態度に、同人作家たちが敬意を払って、ガイドラインを自ら順守する風潮が生まれています。

昨今話題になっているバーチャルアイドル「初音ミク」も、二次創作物に関するガイドラインが、版権者である「クリプトン・フューチャー・メディア株式会社」によって明文化されています。そこでは、「非営利」である限り「初音ミク」の二次創作物への利用は寛容です。そのため、音楽やイラストや動画などのたくさんの二次創作物が生まれ、「初音ミク」は広く知られるようになりました。

「東方」と「初音ミク」の違いは、二次創作物に許諾される範囲が、「同人」か「非営利」かということです。たとえば、「東方」の二次創作物で利益を生み出しても、それが同人活動である限り、まったく問題ありません。しかし、「初音ミク」では、同人活動であっても、今回私が手伝いをした「壁サークル」のように、制作費用を大幅に上回る利益を上げる人気サークルの場合は、営利目的とみなされて、二次創作物の許諾はされないのです。

コミケ最終日、私が手伝ったサークルでは、予想通りに作品を買い求める人たちで行列ができていました。同人誌やポスターを詰め合わせた2000円の紙袋は、ひっきりなしに売れていました。売り上げは約100万円。同人ショップでの販売による収益の2カ月分に相当するそうです。

わずかに残った在庫の搬出作業を済ませ、3日間のコミケが終わりました。しかし、まだ「コミケ4日目」が残っているのです。それは、秋葉原で行われます。そのお話は次回に続きます。