10月4日に投開票が行われる自民党総裁選に、5人が立候補している。皇位継承という難問に取り組めるのは誰か。神道学者で皇室研究家の高森明勅さんは「昨年の衆院選で、他の候補者が全員『女性天皇』に『反対』と回答しているのに対して、『回答しない』と答えていた人がいる」という――。
次期総裁が直面する「皇室の危機」
自民党総裁選はどのような決着を迎えるのか。
候補者の中で有力視されているのは、小泉進次郎・農水大臣と高市早苗・前経済安保担当大臣、林芳正・内閣官房長官の3人だ。
誰が総裁になっても、次の世代の皇位継承資格者がわずか1人しかいないという「皇室の危機」に真正面から取り組むことが、重要な課題になるはずだ。
この危機をもたらしている原因は何か。皇室もとっくに側室不在の一夫一婦制で少子化も進んでいるのに、明治以来の「男系男子」限定ルールを“うっかり”そのまま維持している。このミスマッチこそが原因であることは明らかだ。にもかかわらず、このような構造的な欠陥が見直されずに放置されている。
その結果、天皇皇后両陛下にお子さまがおられても、女性だからというだけの理由で、あらかじめ皇位の継承から除外されるという、不自然な状態が続いている。国民の多くが「女性天皇」を認めている(新聞社・通信社などの世論調査では7〜9割の国民が賛成している)こととのギャップが激しい。
高市早苗氏は問題解決にブレーキ
有力な候補者の中で、皇位継承問題について積極的に発言してきたのは、高市早苗氏だ。
かつての小泉純一郎内閣当時、先に述べた構造的欠陥の解消を目指して、天皇陛下のご長女、敬宮(愛子内親王)殿下の将来のご即位を織り込んで、女性天皇・女系天皇を可能にする皇室典範の改正に向けた本格的な検討が進められていた(そこでのヒアリングに私も応じた)。それに対して、政府が進めようとしていた問題解決の方向性に、はっきりと異議を唱えたのが高市氏だった(平成18年[2006年]1月27日、衆院予算委員会での質疑)。
「私自身は、『女性天皇』には反対いたしませんけれども……『女系天皇』それから『長子優先』という項目については、もう少し慎重に検討もしていただきたいし、党内でも議論を深めたい」


