馬たちも愛子さまに挨拶をした

私はその後、メインオフィスの前にあるメインアリーナに移動したが、アリーナの席はすべて埋まっていて、立っている人たちも多かった。メインオフィスの真向かいには、アリーナを隔ててインドアアリーナがあるが、その2階部分にも人が群がっていた。

メインアリーナは3階建てで、1階部分が売店と子どもたちが遊ぶ場所、2階がカフェレストランになっている。アリーナから見上げてみると、3階部分に白いテーブルクロスを敷いた机が置かれていた。その横には、テレビのクルーがいて、カメラをその机のほうに向けていたので、そこに愛子内親王が座ることは間違いなかった。

ショーがはじまるまでのあいだ、アリーナにつめかけた観客の視線は、一斉にその机のほうに向けられていた。愛子内親王は2時になる寸前に姿を現したが、彼女を見つめる観客に一礼すると、「お手振り」をした。観客も、それに手を振って応えていた。私も、その時初めて愛子内親王の実際の姿に接した。

愛子内親王の座った所の前にはガラスがあり、下からはその姿があまり見えないこともあり、いざショーがはじまると、観客の視線もショーのほうに集中していた。ただ、ショーに登場した馬たちも演技が終わると、愛子内親王に向かって挨拶をしていた。

見事な馬事芸能による大団円

ショーの最後は、「母衣引ほろひき」と呼ばれる伝統的な馬事芸能で、それを実演したのは宮内庁主馬班の職員だった。母衣とはもともと流れ矢を防ぐための補助武具だが、母衣引では、乗り手の背に緑と白に染め分けられた長さ約10メートルの吹貫ふぬきがついていて、最後、それを引いて馬が駆けていくことになる。これが見物みものだった。

他にも、別の会場では、やはり宮内庁主馬班による「打毬だきゅう」が行われるのも、愛馬の日の恒例になっている。これは、ポロと起源を同じくする馬術競技である。そちらは、愛子内親王は見学しなかったようだ。

ショーが終わると、愛子内親王はまた「お手振り」をして退席した。その後、インドアアリーナのほうで、地元の弦巻つるまき騎道スポーツ少年団の中高生や、パリ五輪の総合馬術団体で銅メダルを獲得した戸本一真かずま選手による障害馬術を視察しているが、こちらの光景を、一般客は見ることができなかった。

東京都世田谷区にある馬事公苑のメインオフィス
筆者撮影
東京都世田谷区にある馬事公苑のメインオフィス