年収最大520万円→2000万円のチャレンジ
丸亀製麺を運営するトリドールホールディングス(トリドール)は、店長の年収を成果に応じて最大2000万円まで引き上げると発表した。その狙いは、中途採用で優秀な人材を確保するとともに、仕事に対する満足感を引き上げて業績アップにつなげることだ。
現在の最大520万円から大幅に引き上げるトリドールの改革は、新卒一括採用・年功序列型賃金・終身雇用というわが国の長年にわたる労働慣行に、相応のインパクトを与えることになりそうだ。
トリドール以外にも、給与水準を引き上げて働く人の労働意欲と満足感を高めようとする企業は増加している。官公庁でも、人材確保に給与を引き上げて中途採用枠を増やしている。
賃上げに成功する企業、失敗する企業
一方、改革の取り組みが進まず、業務運営に行き詰まる企業も増えているようだ。東京商工リサーチの調査によると、今年1~8月期の人手不足倒産は239件。前年同期比22.5%増で、集計開始以降で最多の数字となった。人件費を上げたが、そのコストを上回る収益が出せず倒産する企業もあるという。
人手不足が深刻化する中、企業経営者にとって賃上げは避けられない。賃上げ実施とともに、消費者の満足感の高い商品を生み出すことが必要だ。そうした企業が増えると、わが国の労働市場は働きやすい状態に向かうことも期待できる。
古い慣行を崩して新しい仕組みを作れるか、わが国の社会全体がそうした動きを求められている。私たちも発想の転換が必要だ。


