2007年、アジアの可能性に賭け、アメリカからシンガポールに移住した世界3大投資家の1人、ジム・ロジャーズ氏。家族4人で暮らす自宅を訪れ、その1日を追ってみた。

日本株が記録的な値下げを記録した5月末、ジム・ロジャーズ氏の邸宅を訪れた。ジョージ・ソロス氏と一緒に立ち上げたファンドから37歳でリタイア、バイクと車で世界を2度1周したロジャーズ氏が、米国を離れて居住することを選んだ場所はシンガポールである。2年ほど居住している家は賃貸で、今、購入物件を探している最中だという。

中庭のプールを望む広々とした部屋から見渡すと、ロジャーズ氏はプールサイドでエクササイズに励んでいるところだった。ほどなく彼は額の汗を拭き拭き、出迎えてくれた。

「よく来てくれたね。今日のインタビューはエクササイズを続けながらにしたいと思うんだけど……」

70歳になっても朝のエクササイズを欠かさないロジャーズ氏は、日本でインタビューを受ける際もホテルのジムを希望することが多い。まさに「時は金なり」。複数のことを同時にこなすのが彼の好むやり方なのだ。

シンガポールのマーライオンパークからは、アジアにおける金融立国として成功をおさめた同国の象徴ともいえる、金融街のビル群が見える。

朝は6時起床。朝食後、娘2人を自転車に乗せて、800メートルほど離れた学校にそれぞれ送っていく。8時頃~10時頃まで、エクササイズをしながらラジオを聴き、パソコンを開いてニュースやメールをチェック。ヘッドフォンをつけて電話インタビューを受けながら運動することもあるという。

アベノミクスなど、日本と世界の投資環境における最新状況についてたっぷり語ってもらった後、ロジャーズ氏はバイクから降りてシャワーを浴びにいく。着替えが済んだところで、「下の子を自転車で迎えにいくよ」。