投資した6社すべて倒産したこともある
マーケットを先読みするためには、まず過去を知ることが重要です。なぜならば、歴史は繰り返すからです。たとえば「インターネット革命」によって生まれたネットバブルが弾けたのは記憶に新しい出来事ですが、歴史を振り返ると、鉄道、電気、ラジオ、電話、テレビ、コンピュータなど、目新しい技術が生まれるたびに我々は似たようなことを繰り返している。これまでとは違う革新的な市場が生まれたと考え、お金が市場にあふれるバブルが起こり、そして崩壊する。違うのは技術の名前だけでたどる道程は同じなのです。
先読み力を鍛えるには、歴史書や哲学書をたくさん読み、どのように世界が動いてきたか、世の中がどのような仕組みで成り立っているかを理解する必要があります。大局を見る力が身につけば、いま自分たちがどの位置にいるかがわかるようになり、それが正しい判断に役立つのです。
ところが、我々が過去の経験から学んでいないのは最近の世界情勢を見ても明らかです。1990年代の日本では、経営破綻した企業や銀行に公的資金を注入してゾンビのように甦らせました。結果、根本的な問題は何も解決しなかったのに、同様の動きが、いまアメリカで起こっている。同じ過ちを繰り返そうとしているのです。
もちろん、同じ歴史書を読み、同じ話を聞いたとしても、全員が正しい判断をできるわけではありません。相場を正しく読めるのは、100人のうち、せいぜい3、4人で、ほとんどの人は間違った判断をしてしまう。考えてみれば当然のことです。そうでなければ、投資した人はみな金持ちになってしまいますからね。歴史を教えることはできても、判断の仕方を伝授することは難しい。「正しい判断」を学ぶには、実際に投資をして経験を積むしかありません。