中近東を知るために、教養書として読む

「受けるより与えるほうが幸いである」

「使徒言行録」にあるこの言葉はキリスト教の大原則です。といっても「人権とは要求するものである」という戦後の日教組教育を受けた人には、なかなか理解が難しいのかもしれません。

でも、私はやはりこの言葉は正しいと思います。受けることやもらうことを仕事や人生の目的にしてしまうと、どこまでいってもこれで満足ということにならず、常にまだ足りないという気持ちから逃れられない。つまり、こういう人は、永遠に心の平穏を保てないのです。

それに、誰かから1000円もらっても、そんなものすぐに忘れてしまいますが、あげた場合はたとえ1000円でも、ずっと覚えているものです。ですから、やはり受けるより与えるほうが幸いというのは本当なのです。

また、お金をたくさんもっていればそれだけ幸せになれるという考え方は間違いでしょうね。お金で安心や安全を買うことはできても、それが人生のすべてではないのです。

サハラの南東の一部タッシリ・ナジェール地方の風景。

私がたびたび途上国を訪れるという話をすると、いろいろな人から「危なくないですか」と声をかけられます。

10年ほど前に、カメルーンの首都ヤウンデからさらに600キロ奥地に入ったところにあるピグミーの村で、子どもの教育に携わっている日本人のシスターを訪ねたときは、現地で兵士を5人雇いました。自動小銃と手榴弾を装備して、2日間かけて目的地に入ったのです。

こういう旅が危なくないといったらウソになります。でも、兵士と武器と頑丈な車があればいきなり撃たれっぱなしということはないでしょうし、実際に無事帰ってこられたのですから、まあ、その程度の危険だったということです。

そして、そういう経験を何度となくしてきたからこそ、実に多くのことを私は学ぶことができたのだと思っています。