苦しくなかった拘置所での“独房生活”

作家、元外務省主任分析官 
佐藤 優氏

信仰は、決断によってつかみ取れるものではない。これも神学教師たちから教わったことだ。人間と神は質的に異なるので、人間の意思によって信仰を持つという発想じたいが傲慢だ。

人間と質的に異なる全能の神は、人間を救うためにこの世に神のひとり子であるイエス・キリストを派遣した。イエス・キリストとは、イエスが名でキリストが姓ということではない。イエスは、当時のパレスチナによくあった男性名だ。これに対して、キリストとは「油を注がれた者」という意味だ。「油を注がれた者」とは、救済主を意味する。