義務を果たしたとき、自由が手に入る

作家 曽野綾子さん

「少しも幸せに見えません」

数年前にNGOの仕事で、カトリックの神父とともにガンジス川の中流域にあるインドの聖地バラナシを訪れたときのことです。対岸の焼き場から立ち昇る煙が見える宿のテラスで、ひとりの日本人女性と出会いました。

話をしてみると非常にしっかりしています。私は最初、まだ親のすねをかじっている学生なのかと思ったのですが、そうではありませんでした。長らく勤めた会社を少し前に辞めて、その退職金で念願のインドに来たのだそうです。お金が続く限りここにいるつもりだとも言っていました。