金本位制以前のことを考えてみてください。人々は物々交換によって経済を成り立たせていました。「コモディティ」(商品)は、最初のお金の形態ともいえます。日本の江戸時代には、「お金=米」でした。米によって年貢税をおさめ、石高によって各藩の経済力を示す、いわば「米本位制」をしいていました。

その後、商品の価値を裏づける証書(紙幣)が発行されました。銀行に10ドル分の実物資産を預けて証書を受け取った場合、その証書は、10ドル分の実物資産があるという裏付けになるといった具合です。実物資産が金であれば、金本位制ということです。そして、今は実物資産の裏付けがまったくない紙幣(不換紙幣)が流通しているというわけです。

実物資産の代わりに紙幣の価値を裏付けるのは「政府の信用」です。政府の信用が揺らぐ状況下において紙幣がどんどん印刷されると、その信頼性は損なわれていきます。

特に、今は世界全体が景気後退に陥っています。第2次世界大戦前夜の状況に似ていると私は思います。インフレが過熱して金融危機が起こり、暴動や紛争が勃発するリスクも考えておかなければなりません。このような危機には、そもそものお金の形態である実物資産を持っていれば、資産をインフレから守ることができます。

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キヨサキ氏がリスク資産として買う「5つのG」

そこで、私はリスク資産として「5つのG」に投資しています。「5つのG」とは、金(GOLD)、土地、不動産(GROUND)、石油(GASOLINE)、食糧(GRUB)、拳銃(GUN)です。

金を買う理由は、政府が経済を好転させることはできないと考えているからです。初めて金を買ったころは、1トロイオンス(約31.1グラム)275ドルでしたが、今は1500ドルほどになっています。金の鉱山も所有しており、キャピタルゲインのみならずビジネスとしてのキャッシュフローも生まれています。

私はアメリカで石油にも投資しています。油田も持っています。油田の周辺には家やアパートも購入しました。油田で働く人々には会社から給料を払いますが、彼らが私に賃貸料を払ってくれるので、お金が戻ってきます。これもキャッシュフローを増やす考え方の1つです。

人口の増加で世界中で食糧危機が起きています。日本でもアメリカでも、農業に従事する人々が高齢化している。農業がこれから成長すべき産業であることは間違いありません。

経済の状況が悪化すると、犯罪が増え、暴動が起きたり、紛争に発展したりする可能性があります。アメリカでは、富裕層の人々は自分自身で警察官を雇っています。武器の需要も増えていくでしょう。