※本稿は、秋元祥治『自分だからできる仕事のつくり方』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。
自動車部品メーカーなのに「ウェルカムボード」「身長計」
製造業のまち・岡崎を象徴する自動車の部品製造を手がける町工場、飯田樹脂。その名の通り、樹脂の製造・切削加工を手掛け、小指の先に載るようなコンマ何ミリの部品をつくることも可能という、確かな技術を持つ企業です。
技術もある、業績も好調という同社の山川麻依さんがオカビズに訪れたのは、自社ならではの「新商品」について相談するためでした。
「EV化が進むと部品点数が減ります。樹脂のニーズもこのまま順調というわけにはいかなさそうで……」
そう言って見せてくれたのは、結婚式のウェルカムボードや、子どもの身長計。樹脂製で、切削加工により文字が彫られています。
自動車の部品メーカーが、ウェルカムボードや身長計? 意外な組み合わせに、思わず前のめりに。
「こだわりはどこですか?」
「どんな技術が使われているんですか?」
「どうしてその技術を、ウェルカムボードや身長計に使ったんです?」
オカビズの鉄則は徹底的な「いいとこ探し」。そのためには、相手が何を考えて新商品をつくったのか、技術はもちろん、会社の歴史と照らし合わせるとどうなのか、どういう風土の会社なのか、といったところまで押さえることが欠かせません。
「当たり前」に隠れていた“2つの強み”
すると、飯田樹脂には同業他社と比べて特に抜きんでているポイントが、ふたつも見つかったのです。
ひとつは、技術力(①)。自動車で培われた精緻な技術力により、なんと筆文字のかすれすら樹脂上に再現できるといいます。強みを深掘りしているなかで、山川さんが「……魚拓も彫れるんです」と誇らしげに言ってくれたのがとても印象的でした。この樹脂でできた魚拓は、創業者である麻依さんのお父さまの趣味である釣り(⑦)との掛け算だったのです。
そしてもうひとつの強みこそ、会社の歴史(⑧)と風土(⑩)でした。飯田樹脂には、昭和63年の創業当初から、人材を区別せずに採用を実施し、子育て中の母親も多く雇用してきたという歴史があったのです。事実、従業員の6割が女性で、彼女らの感性を活かす事業として考案されたのが、ウェルカムボードや子どもの身長計でした。
ここまで話を聞いたときに、「ひらめき」が起こりました。
① 技術
② 製品
③ サービス
④ デリバリー
⑤ 社会的価値
⑥ ターゲットの取り方
⑦ ひと
⑧ 歴史・信頼・実績
⑨ 製造プロセス
⑩ 組織文化・チーム

