逆転のアイデア「読みにくい名札」
この相談を受けた2017年当時、社会を大きく騒がせた事件がありました。行方不明の女児が、2年ぶりに発見されたというニュースです。登下校時に名札を見て名前を呼んだというその手口に、学校や保育園、保護者、地域の人が震撼しました。そもそも名札は、学業においてはもちろん、災害時にも役立ちます。しかし、登下校時に悪用されるのは避けたい。結果、全国で登下校のときだけ名札を裏返したり外したりするなどの指導がなされていました。この情報が頭にインプットされていたため、山川さんの話を聞くなかで、自ずとこんな質問が飛びだしていました。
「文字がくっきりはっきり見えるように彫れるんだったら、読みづらく彫ることもできますか?」
「……できるかもしれません、やったことはありませんが」
「知っていますか? 最近、全国の小学校では登下校では名札を外して、と指導されているんですよ」
こうして誕生したのが、近くにいると読めるけど、3メートル離れると読めなくなる名札「お名前かくれんぼ」。子育て中の母親が多く働く飯田樹脂では、この社会課題との親和性も高い。「子どもたちの安全のために、母親たちが名札を開発」という位置づけで、毎日新聞、NHK「おはよう日本」など全国メディアにも取り上げられていきました。全国から注文も殺到し、卒園記念品や教材といった新たな販路の開拓にもつながっていったのです。
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